土用の丑の日になぜ「うなぎ」を食べるのか?

川

「土用の丑の日といえば、うなぎ」
そんなイメージを持っている人も多いと思いますが、そもそもなぜこの日にうなぎを食べるのでしょうか。

土用の丑の日とは

そもそも「土用」とは、立春・立夏・立秋・立冬といった季節の節目の前に訪れる約18日間のこと。
夏だけでなく、春・秋・冬にも「土用」は存在します。
古代中国の五行思想に基づき、四季の移り変わりに「土」の気が強くなる時期として設けられました。

一方、「丑の日」は、十二支で日を数える考え方に由来し、12日に1回のペースで巡ってきます。
つまり「土用の丑の日」とは、土用の期間中にあたる「丑の日」のことを指しており、毎年その日付は変動します。

たとえば、今年2025年の夏では、土用の丑の日は7月19日と31日。
このように、年によっては土用の間に丑の日が2回ある「一の丑・二の丑」になることもあります。

もともとは季節の変わり目に体調を崩しやすい時期として意識されており、この時期をどう乗り切るかが古くからの課題だったのかもしれません。

なぜ「うなぎ」を食べるようになったのか

うなぎと「土用の丑の日」が結びついた背景には、江戸時代の蘭学者であり発明家の平賀源内にまつわる有名な逸話があります。

夏場にうなぎの売れ行きが落ちることに悩んだ鰻屋が、源内に相談したところ、「土用丑の日と看板を掲げれば売れる」と助言され、その通りにしたところ大繁盛。
そのアイデアが他店にも広がり、やがて「土用の丑の日にうなぎを食べる」という風習として定着したというものです。

伝承に近いものではありますが「暑さを乗り切るために、うなぎのような栄養価の高いものを食べよう」という考え自体は理にかなっています。

実際、うなぎにはビタミンA・B群・DHA・EPAなど、夏バテや疲労回復に効果があるとされる栄養素が多く含まれています。
また当時の人々は「う」のつくものを食べるとよいとも考えていたため「うなぎ」はその象徴的な存在だったのかもしれません。

うなぎを食べる日ではなく「整える日」として

「土用の丑の日」と聞くと、うなぎの広告やスーパーのにぎわいを思い浮かべますが、もともとは季節の変わり目に身体を整えるための暦の知恵でした。

暑さで食欲が落ちたり、寝苦しさで疲れがたまったりするこの時期。
うなぎでも、うどんでも、梅干しでも、自分に合った「う」のつくものを食べて、体調を整える。
そんなふうに過ごすのが、今の私たちにちょうどいい土用の丑の日かもしれません。