忙しさに追われる毎日のなかで「あれ、もうこんな時期?」と季節の移ろいに驚くことが増えていませんか。
私自身、スマホの天気アプリで気温は知っていても、風の匂いや草木の色の変化を感じる余裕がなくなっていたことに、ある日ふと気づきました。
気候の変化に気づかないまま、服装も食事も「とりあえず」で済ませてしまう。
それが続くと、生活はどんどん味気なくなっていきます。
そして不思議なことに、心まで乾いたように感じるんですよね。
そんなとき、思い出したのが「季節とともに生きる」という感覚。
実はそれこそが、日本人が昔から大切にしてきた「整える知恵」だったのかもしれません。
四季を取り入れる暮らしは、心のリズムを整える
日本には四季があります。
春夏秋冬それぞれに違った表情があり、そこに合わせて暮らし方を自然と変えてきた文化があります。
・旬の食材を取り入れる
・衣替えをして空気を入れ替える
・季節の草花を活ける
・七十二候を読むことで、自然の細やかな変化に目を向ける
こうした習慣は、一見するとちょっとした手間に見えるかもしれません。
でもその「手間」の中にこそ、感覚を研ぎ澄まし、心を静かに整える力があるのです。
私たちは、季節の流れにからだを合わせることで、自然とこころのリズムも調整しているのかもしれません。
五感をひらいて、季節を味わってみる
「整える」と聞くと、なにかを「止める」とか「静める」イメージが強いかもしれません。
でも実は、「感覚を取り戻す」ことが、いちばん自然でやさしい整え方なのではと思うのです。
五感それぞれに季節を取り入れるヒントを紹介します。
香りで季節を迎える
春には桜や沈丁花、夏はミントや柑橘、秋には金木犀、冬はお香や柚子の香り。
玄関や寝室に、季節の香りを少しだけ置くだけで、心がふっと緩みます。
音で空気を感じる
窓を開けて、風の音や虫の声、雨のリズムを感じてみてください。 忙しい朝でも、1分だけ音に耳を澄ます時間があるだけで、気持ちが整ってくるのを感じられるはずです。
肌にふれる空気を味わう
服の素材や温度だけでなく、肌に触れる空気そのものを意識してみましょう。
風がぬるいのか、冷たいのか、湿っているのか。
季節の手ざわりを感じることが、不思議と心に効いてきます。
「季節とともに整う」ために、ほんの少し立ち止まる
目まぐるしい日々の中で、すべての感覚をひらくのはむずかしいかもしれません。
でも、どれか一つだけでもいいんです。
季節の香りを吸い込む。
虫の声に耳を澄ます。
肌で空気を感じる。
それだけで、自分の中に「今ここ」が戻ってくるような感覚があります。
心がざわつくときほど、自然のリズムに一度戻ってみる。
それは、私たち日本人が昔から当たり前のように持っていた、生き方の知恵かもしれませんね。